女性のカラダに優しいイソフラボンの選び方
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
「台所で洗い物をしているときに、「トットットッ」と脈の浮く感じがしたり、夜寝ているときに突然「ギューッ」と胸が締め付けられて心臓が一瞬止まった感じがする」といった自覚症状は、女性ホルモンの代名詞、エストロゲンの分泌が低下してくる30代以降の女性の多くみられます。
私自身も40歳に差し掛かる頃から、特に生理前のプロゲステロンの分泌が高くなるいわゆる高温期になると、夜間に胸の不快感で目が覚めたり、頻脈、動悸を経験するようになりました。
高温期の女性のカラダは、エストロゲンの分泌が弱まり、プロゲステロンが優勢に立ち、胎盤のベッドメイキングをし、受胎に向けての準備をするわけです。この時期にホルモンバランスがスイッチするため、カラダのむくみや、食欲増進、頭痛、イライラ、不安、動悸などのPMS(月経前症候群)症状も出現してきます。
逆の見方をすると、プロゲステロンの作用だけでなく、エストロゲンが低下することによって起こるこれらの症状は、普段エストロゲンによって抑制されていると言ってもいいかもしれません。
更年期の女性にも、PMSと同じ様な症状が多くみられます。
更年期になると、PMS同様の症状に加え、動悸、ホットフラッシュ、急な冷え、めまい、耳鳴りなどの症状を訴える方も多くみられます。
いずれにしても、生活のクオリティを大きく左右するのがエストロゲンの低下です。PMSにおいては、ホルモンのスイッチがきちんとされているサインとも取れるので、ネガティブにとらえる必要はないですが、やはり生活に支障が出てしまうのは辛いですよね。
エストロゲンは、肌艶を良くし、食欲にブレーキをかけ、胸やヒップを膨らませくびれをつくるといった女性の美容においてはとても重要な役割も担っています。
●イソフラボンブームと注意喚起
このようなことから、20年ほど前よりエストロゲンに似た成分であるイソフラボンの健康補助食品が40代以降の女性に長らくブームになっています。
私自身も40代に入り、就寝前に少量のイソフラボンサプリメントを摂取したところ夜間動悸がぴたっとなくなり、睡眠の向上を図れました。
しかし、大豆イソフラボンの過剰摂取は、乳がんや子宮がんなどの婦人科系疾患のリスクを高める可能性があると厚生労働省からの発表を受け、戸惑われた方も多くおられました。
日本人は、もともと、納豆やみそ汁といった大豆食文化です。確かに、食事から摂取しているのに加え、健康補助食品でも摂取すると、過剰摂取に該当してしまうかもしれません。
では、健康補助食品においてはどのイソフラボンを選べばいいのか、何がいいのか、サロンや医療機関等で働かれている方は、一度はご相談を受けた経験があるのではないでしょうか。
●大豆イソフラボンとレットクローバーイソフラボンの比較
ヨーロッパにおいては、医療機関においても大豆イソフラボンではなく、レットクローバーイソフラボンがポピュラーです。
大豆イソフラボンとレットクローバーイソフラボンではどのような違いがあるのでしょうか。
こちらは、著書「膣ヨガ」(宝島社)にも、図解で分かりやすく説明を載せていますのでそちらも参考になさってください。
まず大きな違いとしては、消化吸収の工程が違うということです。
イソフラボンには、グリコシド型とアグリコン型があり、カラダに吸収されるにはアグリコン型でなければなりません。
大豆イソフラボンは、グリコシド型で、すぐに吸収される状態ではありません。一度腸内菌の助けを得て糖質と分解され、はじめてアグリコン型となり、肝臓から吸収されていきます。ですので、抗生剤など、腸内菌を滅菌してしまうお薬と併用してしまっては吸収される状態にはなりませんし、体内環境に左右されてしまうのです。
レットクローバーイソフラボンの場合、はじめからアグリコン型である為、糖質分解が必要ないので体内環境に左右されることなくすぐに吸収されていきます。
●大豆イソフラボンのリスクとレットクローバーイソフラボンのススメ
また、なぜ大豆イソフラボンは婦人科系疾患のリスクを高めてしまうのかというとこでは、エストロゲン受容体であるα(乳房、子宮に分布)、β(脳、骨、冠動脈に分布)の2種類がともにレットクローバーイソフラボンにに比較し、10倍作用することが分かっています。ですので、レットクローバーイソフラボンは大豆イソフラボンに比べると、乳がんや子宮がんのリスクが低く、α受容体(生殖機能)に対する悪影響を抑え、β受容体(アルツハイマー、骨粗しょう症、シミやしわ)への好影響をアプローチするものとなるのです。
とはいえ、既に乳がんや子宮がん、その他婦人科疾患を経験している女性にレットクローバーイソフラボンをオススメする際は、一度専門医に必ず相談をするように促す必要があります。
●レットクローバーイソフラボン摂取の経過
弊社でも、10年以上前に薬剤師と世界中医師の友人らで開発をした、40代以降の女性の為のサプリメント「ビューティエイジング」を取り扱っており、ロングヒット商品となっています。
リピーターが多く、1日4粒を最大摂取量と設定しているカプセル型のサプリメントですが、朝に1粒からでも、日中のホットフラッシュが軽減したり、イライラ、浮腫みの改善を実感したという方が多くいらっしゃいます。
先ほども申し上げた通り、私も、寝る前の1粒で夜間動悸が明らかに改善されました。また、現在まで約3年間の長期服用されている方におきましては、お顔の広範囲に広がった肝斑が徐々に薄くなり、現在ではほとんど目立たないほどに改善しました。この方は閉経後にホットフラッシュも強く出ていた方で、1日4粒服用し、ホットフラッシュも軽減しました。5年以上ご愛飲されている方々から婦人科疾患が発症した方も現在のところおりません。
●最後に
健康補助食品はあくまでも“補助”ですので、まずは大豆食材を使用した栄養バランスの取れた食事、そして、何よりも運動、睡眠は健康の基本です。
特にPMSのお悩みを持つ方、生理痛や生理不順でお悩みの方は、ジョホレッチなどのエクササイズでほとんどの場合が症状の軽減がみられますので、栄養、睡眠、定期的な運動というのは、自律神経を整える第一歩になりますので、引き続き、皆さんの生活向上の為の健康指導と、プラスαのアドバイスをされてみてはいかがでしょうか。