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子宮がんリスクを高める”圧力”とは

子宮がんリスクを高める圧力とは
日本女性ヘルスケア協会長鈴木まり

「がんは遺伝」とよく言われますが、実は遺伝よりも生活習慣のほうがリスクを高めるということは遺伝学の世界でも分かっているようです。

がんなどの生活習慣病のリスクを高める生活習慣として、飲酒(週に6合以上は注意)や喫煙、栄養の偏り、睡眠不足や体内時計に反した不規則な生活など挙げるときりがありません。
つまり、両親が高血圧やがんだからといって、必ずその病気になるとは限らないのです。

そんな中、先日ギョッとしたニュースがありました。

なんと、縮毛矯正を定期的にかけている女性は子宮がんのリスクが高くなるというのです。
縮毛矯正利用者な上に父をがんで亡くしている身としては他人事ではありません。

【研究対象となったのは、2003~2009年に子宮があった35~74歳の3万3947人で、平均10.9年の追跡期間中に378例の子宮体がんが同定されました。

そして、過去12カ月間に化学的な縮毛矯正剤を使用したことがある場合とない場合では、子宮体がんの罹患。リスクが1.8倍高くなることがわかりました。

また、過去12カ月間に4回以上という高頻度で縮毛矯正剤を使った人は、一度も使用したことがない場合と比較すると、リスクが2.55倍高くなったとのことです。

その一方、染毛剤やパーマネント剤など、ほかの毛髪製品の使用は、子宮体がんの発生と関連していなかったことも示されました。(Yahooニュース抜粋)】

こちらは、アメリカにおけるエビデンスですので、すべてが日本製品に当てはまるとは言えませんし、日本の美容業界の方々何人かにこのニュースのシェアをしたところ、決まって、「カラー剤と同じくらい低い毒性だから大丈夫かと」というお返事でした。

アメリカ人と日本人では薬の濃さや量、強度が違うのは当然といえば当然です。
もちろん、日々の研究から薬そのものも優しいものに改善していることもよく分かります。
しかし、今回のニュースで見逃してはいけないのは、縮毛矯正では、普通のストレートパーマと違って、「熱による圧力」があることです。

一度でも縮毛矯正を経験された方ならご存知だと思いますが、一剤の後にドライヤーで乾かしてから、熱したコテで髪の毛全体をしっかり伸ばしてから2剤を浸透させます。

どんなに優しい素材でも、「熱などによる圧力」が加わることで、物質が変化するというのは、よくあることです。

例えば、水を火で炙ると、水は熱による圧力で蒸発して気化します。

私たちは、気化した水蒸気を見て、「湿度」とは感じるが、これをみて、「飲もう」とは思わなくなる。つまり、圧力を受けたことで、水が水でなくなるのです。

私たちが日々当然のように口にする「アミノ酸」についても同じです。

そもそもアミノ酸という物質は存在せず、ある物質同士に圧力が加わったことで新しく誕生したのではないかという説が有力視されていたす。

【まず研究チームは、真空の容器内に星間雲で最も多く見られる水、二酸化炭素、メタノール、アンモニアでできた氷の分子をつくり出した。そして深宇宙における宇宙線との衝突を再現するために、高エネルギー陽子を氷に照射した。すると氷はバラバラになり、大きな分子を構成して最終的には肉眼でも見えるようなぬるぬるとした残留物であるアミノ酸の塊が生成されたのである。(KATRINA MILLERSCIENCE2023.02.10より抜粋)】

「圧力」とは、分子構造を変える力があるので、今目の前にあるものが無害なものだとしても、熱や光の圧力が加わると有毒なものに変化する、また、その逆で、有毒なものが無害になるということは往々にしてあるのです。

ですので、「大丈夫だ」と安易に言えるものではないということを、私たちは常に頭に置いておかなければなりません。

「圧力」とは、私たち世の中全てを、変化させる際に必ず起こる現象です。

人間関係も、何かしらの圧力であっという間に変わってしまいますし、大地震などの天変地異や戦争により人口変化、政治、経済に影響を及ぼします。

分子レベルから世の中まで、私たちは何かしらの「圧力」の影響のもとに生活をしているように感じるのです。