意外と知られていない!ダイエットにおける“正しいカロリー数の天秤”とは
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
所によってはまだ豪雪が続いているところもありますが、東京各地では花粉の季節となって来ました。
日中は気温が低くても晴れの日が多く、河津桜も花開き、いよいよ春らしさも近づいてきました。
春は心機一転、心のスイッチも入る季節。
ヨガやエクササイズなどの実用本なども売れ行きを伸ばす季節です。
この頃から最も多いお身体の相談といえば、ずばり「ダイエット」です。
皆さんメディアを見て、〇〇ダイエットといった食事制限を始めたり、ジョギングしたり、ジムへ通ったり、薄着から覗くカラダのシルエットをいよいよ気にし始めます。
短期間でコミットするには糖質制限をして脂肪の蓄積を防ぐ、脂肪の基を摂らないというのはもはやここ数年のダイエットの常識となってきていますね。
しかしながら、短期間で過度の食事制限や集中した運動でダイエットにコミットしたとしても、習慣にならなければあっという間にリバウンド。この繰り返しで体調を崩す方も多く見受けられます。
では、体調を崩さずに、確実に体重を落としていくには何をプラスして、何をマイナスしていけばよいのでしょうか。
食生活や運動習慣、仕事環境など、皆さんそれぞれですので、単純に“何かを加えればいい”というものではありません。
その方の生活に合った制限、またはプラスのものを、皆さんそれぞれの主軸に沿ってパーセンテージで見ていくのが重要です。
つまり、皆さん、それぞれ今ある生活スタイルから、
「運動で何%消費カロリー数を増やして何%食事での摂取カロリーを減らすと痩せるのか」ということです。
肥満が多い国と言えばアメリカ合衆国が有名ですが、JETROの記事によると、NationalCenter for Health Statisticsの調査では、現在アメリカ人の成人の約3分の2(67%)が太り過ぎ、または肥満であるといわれ、成人の肥満率(Body Mass Index(BMI)が30以上の成人が全成人人口に占める割合)は過去30年の間に2倍以上(1980年の15%から2006年には34.3%)に、2~19歳の幼児・児童・青少年の肥満率に至っては3倍以上に増加したと報告されています。その一方で、国民の肥満率の上昇はアメリカにおける医療費高騰の要因の一つともされ、また肥満による労働者の健康状態の悪化は低生産性、ひいては米国経済の競争力低下を引き起こすとまで憂慮されています。
驚くべきことに、約7割の方が太りすぎ、または肥満ということで、従来からアメリカではダイエット治療が盛んにおこなわれてきています。
さて、そこでアメリカの研究で明らかになった主に減量を中心としたダイエット治療を紹介したいと思います。
1つめは、「好きなものを好きなだけ食べる+その翌日は丸1日断食する」を繰り返すと明らかな減量効果があったと報告されています。しかし1日置きの断食というのが現実的に難しく、最終的に辿り着いたのが「16時間空けるダイエット」です。最後の食事から翌日の1食目まで16時間空けるというもので、これはアーユルヴェーダの治療にも通じるもので日本でもブームになったものです。
ちまみに私もこれは既に習慣化されている健康法でもあります。
そして、もう一つが、食事制限で、カロリーを12.5%カットし、運動で消費カロリーを12.5%増やすというものです。これにより、カロリーを25%制限したのと同じ効果があることが確かめられています。
断食などが難しい方は、まずは「12.5%」をキーワードに勧めてみるとよいです。
驚くほどの制限やプラスではないので、「なんとなくできそう」という気持ちにさせると思います。
毎食600キロカロリー摂取している方は、75キロカロリーカットすればいいだけです。ごはん茶碗1杯のお米の量を1/3カットするだけでクリアできてしまいます。
また、運動量を増やすに関しては、普段お部屋で座ってたり横になったりして過ごしている方は、「ただ立って過ごす」だけで、1時間で107キロカロリー燃やしてくれますし、歩き回れば180キロカロリー消費してくれます。特別な何かをしなくても、ただ立っているだけで消費カロリーは増えるのです。
例えは、50kgの40代女性の必要カロリーは1500キロカロリーだとしたら、1時間部屋をウロウロ歩く、または1時間の散歩でクリアしてしまいます。これがジョホレッチやヨガなどの1時間の有酸素運動の場合は更に消費カロリーが増えますから、ダイエット効果のスピードを上げることが出来ます。
特に何か特別なことをしなくとも、今ある生活をまず見直してできることから取り組まれることがリバウンドを予防し、習慣化しながら確実にダイエット効果をあげられるのです。
皆さんの周りの方でダイエットのご相談があった場合の参考にして頂ければと思います。