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マスクレス生活で気をつけたい”全員がやっている生活の癖”


マスクレス生活で気をつけたい”全員がやっている生活の癖”
               日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり

 

 先日、箪笥の整理をしていたら、くしゃくしゃになってやや黄ばんだ小さな布を発見しました。
 もはや存在すら記憶からなくなっていたアベノマスクです。
 コロナ禍ではマスクについての議論が随分と繰り広げられ、各国での温度差も露見した件でもありました。

 マスクを外したいけど周りの目が気になって外せない日本人、マスクをしたいのに周りの目が気になってマスクをつけられないヨーロッパ人。その国々の政策でどの国にも窮屈な思いをしている方がいたのは事実です。

 さて、コロナ政策もいよいよ本格的に解除してまいりました。東京を歩いていると、外国人旅行者も沢山見かけるようになってきました。
 マスクをする人、しない人、「個人の尊重」を強調している日本ですが、マスクストレスから解放された今だからこそ、改めてマスクの有効性と今後気をつけたい教訓について考えたいと思います。
 

そもそもマスクは有効だったのか
 「飛沫防止」という名目で私たちはマスクをつける生活を3年過ごしました。
 鼻からしっかり覆っている場合、飛沫においての有効性は確かにあったと思います。
 ただ、マスクの素材の種類や装着方法も人それぞれで、明らかに意味のないものもあったのは事実。ですので、ある一定の状況下での有効性があったとするにとどまるかと感じています。

 
 しかしながら、「空気感染をする」コロナにおいて、果たして予防の効果はどの程度だったのか。

 美容室でマスクをつけながら前髪のカットをして頂くと、マスクの中にどんどんと髪の毛が入り込んできます。髪の毛すら入り込んでくるものに空気感染する超小さなウィルスのブロックは果たして有効なのだろうかと感じたこともありました。 
 
 厚生労働省の発表によりますと、マスクの有効性の調査結果は以下のようにまとめられています。(以下部分抜粋)
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日本では、マスク着用者の週あたり感染リスクが非着用者の0.84倍に低下す ることが知られている。観察期間を2週にすると、着用者の感染リスクは非着用者の0.76 に低下すると推定されている。これはマスクを着用するこ とによって自分が感染しないための効果に相当する。ただし、人口中の着用率が低く感染リ スクが比較的高い条件下(デンマーク)で実施されたランダム化比較試験では、着用者と非着用者の間で1か月間の感染リスクの差異は見出せず、自分が感染しないための効果が必ず しも十分でないとする知見もある。
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米国における研究では、流行対策の一部としてマスク着用が有効であることが示唆されて いる。着用者が10%増加するにより、そうでない場合と比較して流行を3.53倍制御しやすくなる(マスク着用率が10%上昇することによって、実効再生 産数が1未満に落ちて流行が制御下に置かれるという度合いが3.53倍だけ増す)と推定され ている。

厚生省参考ページ
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001055263.pdf
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 日本国内の有効性は1倍未満という数字をみると、思わずうなってしまいますが、無症状感染者からの2次感染の予防には有効性があったという示唆もあります。

●性格傾向とマスクの管理
 私たち人間はこれまでも度々パンデミックを経験してきました。
 この地球上の生物である以上、ウィルスや細菌との戦いは永遠に続いていきます。
 地球上に存在するウィルスや細菌類を縦に並べると、その数は月に届くほどだとも言われています。 
 そして、生物は小さくなればなるほど生き残り競争に有利になりますから、ウィルスや細菌はやはり他の生物にとっては脅威になるのです。
 さて、この小さな巨人たちに打ち勝つ為に私たちは日頃からどんなことに気をつけ、生存競争に打ち勝って行かなければならないのでしょうか。

それは、実にシンプルです。 それは、

 「どれだけ手を洗わせるか」 ということです。 

 これは、大昔から感染症専門医の口癖ですね。

 マスクの有効性を考えた際に、真っ先に頭に浮かんだのがこの言葉です。
 これは、性格傾向にもあるのですが、よく手を洗う人とそうじゃない人のマスク管理にも差がみられました。

 よく手を洗う人は、まめにマスクを洗う、または使い捨てのもので1日使ったら捨てる。
 逆に、お手洗いの後に手を洗う習慣のない人は、マスクも洗う習慣が少なく、使い捨てのものも使いまわすというのが度々目に入りました。 特に後者は男性に多くみられました。

 清潔好きで毎日シャワーや入浴をする日本人が、毎日シャワーをしない国に比較して感染者数の増減が緩やかだったのをみても、衛生に対する意識で大きく差が出ることが分かります。

 

全員がやっている感染リスクを高める"生活の癖"
 さて、なぜ手洗いとマスクの関係をお話したかというと、飛沫の他にマスクが最も貢献したことと言えば、不衛生な状態の手であっても、マスクを1枚介すことで、直接顔を触る環境が減ったということです。

 手には常に何かしらのバクテリアが付着しています。ですので、いかに手洗いをして悪玉のバクテリアを除去していくかというのが最も大切なのですが、もう一つ、人間全員が無意識に行っている、「顔を触る」ということをいかに防いでいくかも大きな焦点になります。
  
 ヒトは口と手の動作をつかさどる脳のエリアが同じですし、何かを考える際、精神的ストレスを感じている際に、無意識に顔を触るということをします。
 大人ですら、1時間に16回も触っているという調査結果もあります。
 特に、鼻を触るという行為は多くの人に見られますので、マスクレス生活にシフトする今後について、不衛生な手で直接鼻を触る環境がまた増えるということになります。
  
 この生活の癖は、私たちの精神衛生を保つためにも大切で無意識にあるものですので、鼻を触る際にはハンカチを介すなど、意識が向いたときに気を付けて頂くのも一つです。
 それ以前に、やはり手洗いをして手の衛生を保つということは、今後も是非徹底していきたいことです。

 

  最後に、今後のワクチン接種について先日専門医と意見交換会を行ったのでこちらにも記しておきます。

医療従事者の方は既に臨床の場で実感をされているかと思いますが、コロナの治療薬によって回復される患者さんが多く、効果を発揮しております。

重症化リスクの高い疾患のある方以外におきましては、過去に3回ワクチン接種をしていて、感染した場合にすぐに診療を受ければ大きな問題になることは極めて低いとのことでした。

もし、1日の中でアップダウンを繰り返す熱を出された場合には、すぐに診療し、早期に対処することが大切です。

対処法ができた現在、ワクチンにもさほど敏感になる必要もなくなってきたのかもしれませんね。

いずれにしても、まめな手洗いと、直接顔の粘膜に触れる行為は今後も意識していきたい大切なことです。 マスクレスで肌ダメージの回復ケアもお忘れなく。