先月からシリーズでお届けしています、アーユルヴェーダとその処方。今月は、「アーユルヴェーダ処方とアダプトゲンハーブ」についてお話ししたいと思います。
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◉1月コラム:アーユルヴェーダ処方とSDGs
◉2月コラム:アーユルヴェーダ処方とアダプトゲンハーブ
◉3月コラム:フェムケア保湿オイルの作り方、選び方〜アーユルヴェーダ処方
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「アダプトゲンハーブ」
日本では聞きなれない言葉かと思います。
一言でいうと、「万能ハーブ」と解釈できます。
「万能」と聞くと、「何にでも効く」「何でも治してくれる」というイメージが強いかと思います。
専門家の立場からすると、「万能」と聞くと、やや怪しさを感じてならないのですが(笑)、古代から「万能薬」として人々の健康を支えてきた事実は曲げられないので、まずは「万能の根拠」に迫りたいと思います。
●「万能」とは?
「万能」を別の角度から解釈すると、「崩れない身体」とも言えます。
「崩れない身体」ということは、体内では、「体調を崩す原因が常に排除されている」ということが起きていると解釈できます。
私たち人間が、最も体調を崩す原因といえば、「ストレス」です。
季節や寝不足、栄養バランス、対人環境や生活サイクルなど、ストレスの原因は日々溢れています。
身体はストレスを感じると、神経系、脳、心臓、肺、胃、腎臓、肝臓、生殖構造、代謝、防御機構、免疫機能などが低下します。
慢性疲労が続くと、胃腸が不調、風邪をひきやすくなる、女性は生理不順やPMS、男性はEDなど・・・悪循環になりますよね。
また、生活習慣からストレスの原因を早く排除しないと、炎症を起こし、慢性化すると癌など大きな病気に発展していきます。
ストレスをコントロールしているホルモンといえば、コルチゾールです。
「ストレスホルモン」と聞くと、悪者の様に感じるかもしれませんが、身体のサイクルを正常化するには大切なホルモンです。
私たちは、朝陽を浴びるとコルチゾールが身体にストレスを与えて目覚めさせてくれます。昭和の感覚で言うと、お母さんの様なホルモンです(居ると有難いが、過剰に干渉されると辛くなるという意味でも同じですね)。
アダプトゲンハーブが「万能」と言われるのは、このコルチゾールのレベル(母親からの過剰干渉)を下げてくれることです。
自律神経のバランスを保つのに大切な、視床下部や下垂体、副腎を正常化する様に働きかけ、免疫力や神経活動の正常化を助けて身体の機能を最大限にサポートしてくれます。
「アダプトゲン」として知られているハーブは、5000年以上費やされた古代インド医学の研究の中で、最高評価されているものでもあります。
それでは、どの様なハーブが「アダプトゲン」と言われるのか紹介したいと思います。
ひとつは、1月コラムでもお話しした、「モリンガ」です。
詳しくは、1月コラムをご覧ください。
●1月コラム「アーユルヴェーダ処方とSDGs」
https://www.johoretch.com/blog/sdg
モリンガも現在日本で手に入りやすくなりましたので、是非お試しくださいね。
今回特にご紹介したいアダプトゲンハーブは、「トゥルーシー」です。日本では、「ホーリーバジル」とも呼ばれています。
トゥルーシーの歴史は古く、効能も幅広い為、トゥルーシーだけで分厚い一冊の本があるくらいです。
トゥルーシーの効能は以下です。
【トゥルーシー(ホーリーバジル・シソ科)】
低木状多年草。草丈60 cm。茎は分枝し,古くなると木質化する。葉は長柄を有し,卵形でやや鋸歯縁,軟毛が密生する。茎葉には芳香がある。紫紅色の花を円錐花序に付ける。
【薬効と用途】
茎葉は発汗,解熱,去痰,健胃,消炎作用などがあり,カゼ,気管支炎,頭痛,胃の症状,マラリアなどに用いる。
葉の汁は耳の痛みに耳孔内に垂らして利用し,たむしには外用する。
種子は鎮痛作用があり、泌尿器系の機能不全時に利用する。
根は発汗性のマラリアに発汗促進剤として利用する.根,茎,葉の汁は蚊,蛇、サソリに咬まれたときに外用する。
(熊本大学薬学部HP引用)
解毒作用や抗酸化作用に優れていることがよくわかりますますね。
トゥルーシーは、私も愛飲していますし、過去には沢山鉢植えをしてベランダに飾っていたハーブのひとつです。
園芸が趣味の方には特にオススメしたい植物のひとつです。(Columnのイメージ画)
水と太陽さえあればニョキニョキ成長し、可愛らしい紫色の小さな花を咲かせてくれますので園芸初心者にもオススメです。花が咲くころには、ほんのり香るスパイスが脳を癒してくれます。
成長したら上部を摘んで天日干しをして、お茶としても楽しめます。(私は全部お茶にして消費してしまいました、、、。)
カフェインもないので、胃腸にも優しく、可愛らしい見た目で眼を癒してくれ、香りで脳を癒し、お茶や食事に取り入れれば内臓を癒し、自律神経、ホルモンバランスを整えてくれます。
特に、インドやネパールなどヒンドゥー教圏では最も神聖な植物として各家の庭で栽培されています。
インドでは、朝起きると、まずはトゥルーシーに水を与え、トゥルーシーの回りを3周歩いて手を合わせ感謝を伝える、という習慣もあるほどです。日本ですと、仏壇や神棚にまずはお水やお茶を上げて手を合わせるのと同じですね。
それほど、大切にされているハーブなのです。
実は、日本でもトゥルーシーが大規模活用された例があります。
それは、3.11東日本大震災後の福島の放射能汚染エリアでのことでした。
故・安倍晋三元首相の奥様、昭恵夫人が先頭に、汚染エリアの土壌改善を目的に、汚染地の一部をトゥルーシー畑にしたのです。トゥルーシーには汚染物質を吸収し分解する力があるとされています。
これまで、植物による土壌汚染改良計画は各地でありました。
特に有名なのは、スペインのひまわり畑です。
しかし、ひまわりは、土壌の汚染物質を吸収してくれはしますが、分解する力はありませんでした。ですので、成長したひまわりの処分をどうするのかという問題が上がったことは今でも記憶にあるニュースの一つです。
ひまわりに比べ、トゥルーシーは、吸収した汚染物質を分解する力もあります。
まさに、「万能」と言われる由縁です。
先月紹介したモリンガもそうですが、アダプトゲンハーブには、環境改善を強くサポートする力がある様です。
言ってみれば、地球の免疫力、地球のデトックスの役割を担ってくれている存在です。
私たちは、目に見えないこれらの力があってこの地球に生き続けていられているわけですね。
古代から人々は、経験や体感からこれらの恩恵を感じ知り、叡智として私たち後世へ繋いでくれているのです。
来月は、フェムケアとアーユルヴェーダについてお話ししようと思います。
◉3月コラム:フェムケア保湿オイルの作り方、選び方〜アーユルヴェーダ処方