春の便秘改善法~アーユルヴェーダと中医学の処方
日本女性ヘルスケア協会長 鈴木まり
東京は桜開花宣言もあり一気に春めいてきましたね。今年は花粉の量も例年の数十倍と言われ、都内では年明け早々に花粉症でお悩みのお客様も一気に増えました。
中医学では春は「風邪(ふうじゃ)の季節」と言われ、対処として、コリアンダーや白葱、茗荷など、カラダの表面に汗をかかせて皮膚から解毒する作用のある辛温解表類の食材が用いられます。
また、アーユルヴェーダでは、KAPHA(カパ)の季節とされ、アレルギー、冷え、むくみ、倦怠感が出やすくなる季節となるので、対処として、甘いものを避ける、水の取り過ぎに気をつける、粘り気の強い食材を避ける、ほどよく汗をかくくらいの運動をする、熱めのお風呂に浸かって発汗を促すなどを行います。
インド医学のアーユルヴェーダ、中医学いずれも共に、「発汗」というのがテーマになります。また、この季節は下痢を起こしやすくなっなり、季節の変わり目で便秘が酷く出る方もいます。
つまり、「季節性の不調」というものがあります。
今回は、普段から下痢をしやすい方、便秘の方それぞれの具体的な対処法について、触れていきたいと思います。
●朝に下痢をしやすい方、お腹がゆるくなりやすい方。
一番のオススメが、「朝白湯生活」です。
白湯は中世からアジア、ヨーロッパ様々な国で健康法としての歴史があります。
特に朝に下痢しやすく、電車など不安な方には、朝起きて1番初めに口に入れるものを「白湯」にしていただくと良いです。
体温と同じくらい、またはややぬるめの白湯をコップ一杯飲んで頂くと、1週間ほどで朝の腹痛や下痢が治ることが多いです。
基本的に、瞬間湯沸かしなどでお湯を沸かしてお茶碗に注いでそのまま冷ますでも良いのですが、きちんと白湯を作りたい方、特に40代以降の女性は貧血になりやすいので、南部鉄器などの鉄製のものや、ヤカンがオススメです。鉄鍋でお湯を沸かし、グツグツしてきたあと5分ほどそのままグツグツさせてから火を止め、注いで冷まして頂くとなお良いです。注ぐさい火傷にはくれぐれも気をつけてください。
あとは、極端に辛いもの、甘いもの、塩辛いものなどの刺激物は避けて頂き、カラダを冷やさないように、下腹部の丹田(たんでん)や腰にホカロンを貼るなども良いです。
●便秘がちの方、特に季節の変わり目で便が固い方、出にくい方。
まずは、"緊張をほぐす"ことが重要です。
便秘の種類にはいくつかあるのですが、特に季節の変わり目や、環境変化がある際に便秘になる方は緊張型の便秘です。
胃腸消化器は、リラックス神経である副交感神経が優勢にある時に働きます。つまり、常に緊張した状態では働かないのです。
カラダの緊張に通じるものとしては、カフェインやアルコールも原因にあります。
興奮神経である交換神経を刺激するカフェインやアルコールの取り過ぎは便秘のもとになりますので、1日2杯などほどほどにされるとよいです。
特に夕方くらいの時間からは睡眠ホルモンの分泌も徐々に促されていきますので、夕方以降は、菊茶やカモミールティなどのハーブティーに置き換えることもオススメしています。
季節関係なく便秘になりやすい方は、「熱性便秘」と言って、体内に熱が籠って便秘になることも疑われますので、清熱効果のある、ほうれん草や、ミントティーを意識して摂ってみてください。
また、40代以降の女性に多い便秘としては、女性ホルモンの低下などから陰陽のバランスが崩れて血のめぐりと気のめぐりが滞ることが原因なこともありますので、その際は、血を補い、気の流れを促す漢方を用いるのも良いです。
血を補う食材としては、海苔、黒胡麻、キクラゲなどの「黒いもの」がオススメです。
これらは女性の潤である陰を補い血を補う薬膳で用いられます。つまり、女性の更年期予防にも期待できる食材です。
気を巡らす食材は、鶏肉、玉ねぎ、蕎麦、柑橘の皮(陳皮)の組合せでお料理される、簡単な薬膳料理になります。
漢方におきましては、イライラしやすい方は、加味逍遙散(かみしょうようさん)、自律神経の不調があって便秘がちの方は桃核承気湯(とうかくじょうきとう)が処方されることが多い印象です 。いずれも一般病院の内科などでも処方して頂けますし、市販薬でもあるポピュラーな漢方です。近々病院に行かれる予定の方は担当医に漢方処方のご相談をされると良いかと思います。
症状が出てからよりも、今すぐ生活に取り入れられる習慣を身につけ、予防に努めてカラダを備えていきましょう。